なんでかな
こんなにも見慣れてしまったのにまだ、好きになれないなんて…。
ここに来てから何年経ったかな、
狭いようで広いこの部屋から見えるのは、毎日変わらない同じ景色。
周りからは、悲痛にも似た叫びと早くここから出たいという悲願の声。
周りの人間は、そんなことも知らずにただニコニコ笑っている。
でも、僕らはそんな人間達に必死に呼びかける。
声なんて届かないのに。
あぁ、やだな。
早く僕をここから出してくれないかな
好きじゃないよ。こんなとこ。
ずっとここにいるから分かるんだ。
この先に待ってる僕の運命。
たすけて。そんな言葉もきっと届かないよね。
ショーケース越しに見えたのは、不貞腐れたように下を向く年配の犬だった。
ペットショップに犬を見に来ただけだったんだ。
でも、どうしてもこの子が目から離れなかった。
ありがとう。とても楽しかったよ。
○○。ゆっくり休んでね。
好きじゃなかった人間が好きになれたような気がする。
タイトル:好きじゃないのに
3/26/2024, 5:14:04 AM