あなたは誰
鏡にこの言葉を問いかけては絶対だめ。
昔からの言い伝えで精神が崩壊するわよ。
と両親は言う。
ただの都市伝説だ、そう私は思っていた。
この時までは。
私の部屋には昔お祖母様から頂いた古い姿見が隅の方に置いてある。
全体的に金で統一され一見何処にでもある普通のかがみだったが、私はその鏡を人目見た時から少し不気味さと違和感を感じていた。
明日は友達と2泊3日で関東地方に旅行する予定があるので今日は早めに寝よう。
そう思い布団に潜り目を閉じた。
旅行当日私は早めに起き支度をしていた。
ふと鏡の方を見ると前見た時はなかった黒い汚れが
ついていた。
なんだろうと思いタオルで拭いてみる。
タオルを見ると炭のようなものがついていた。
だがうちの家では炭など置いていないのだ。
私は不審に思いいつも台所でご飯を作っているであろう
お母さんに声をかけに向かった。
「お母さん、なんか変な汚れがついてたんだけど、、」
だが寝室にも台所にも母親の姿が見えない。
「こんな時にどこ行ったのよ、、」
待ち合わせまで時間が無いので不満げに声を漏らしながら仕方なく鏡の傍に置こうと部屋に戻る。
扉に手をかける。
「ん?あれさっきこんなに開いてたっけ?」
違和感を感じ何となく鏡がある場所に目をやる。
そこには見知らぬ子供が不気味な笑みを浮かべながら鏡と向き合っていた。
私は恐怖でその場に立ちすくむ。
声を出そうとするが怖すぎて口をパクパクさせるだけしかできない。
ふと見知らぬ子共がこちらを振り向く。
その顔はこの世のものとは思えないほど肌が青白く
目が充血しているだけでなく
不気味に張り付いたような笑顔だった。
その子供は表情を変えず私に向かって言葉を話す。
「ねぇ、あなたは誰」
「連れて行ってもいいの?」
「楽しいよ向こうは」
「えっ、、、、今なんて」
「向こうって、、、、なに、、、どういう意味」
頭が恐怖で機能していないが身の危険を感じる。
直感でそう思った。
見知らぬ子供は手を広げ「一緒に行こ」と近づいてくる。
「いや、、、、」
「や、、、、めて!!!」
「来ないで!!!!」
頭ではそう思っていても声が出ず足がすくむ。
見知らぬ子供はケタケタと笑いながら近ずいてくる。
「い、、、、、や、、、、、」
「た、、、、、す、、、、」
「け、、、、、て」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「ねぇ、ちょっと、、、」
「○○!だいじょうぶ!!」
はっ、私は母親の声で目を覚ます。
どうやら夢みたいだ。私は胸をホッとなでおろす。
手には何故かおばあちゃんの形見の破片を握っていた。
「うなされていたわよ、ところで待ち合わせ時間とっくに過ぎてるけど支度はしなくていいの?」
「えっ?うそーーー」
私は飛び起きて時計を見る。
「に、、2時間過ぎてる」
私は直ぐに友達のLINEを確認した。
だがそこに書かれていた文章に目を見開く。
「○○が事故にあった、意識不明の重体って」
「私も待ち合わ場所に来る途中通り魔にあって
右足刺されて殺されそうになって警察の方が助けてくれて今病院にいる」
「このLINEが見れたら今すぐ緊急病院に行って
ほしい」
えっ、なんで、、、、
私の頭は混乱していた。
昨日まで元気にしていた友達が、、、
事故で意識不明???
来る途中に通り魔から刺された???
意味がわからない。
ふと今朝の見知らぬ子を思い出す。
「あの子の言葉、、まさか、、、」
私は直ぐに否定をするが今の状況と重なりすぎている。
でも私は無事だ。どこも身体に異状がない。
私は手に握っているおばあちゃんの形見の破片に目線を送る。
「守って、、くれたのかな、、おばあちゃん?」
「ありがとう、、、」
私はギュッと形見を握りしめ病院へと立ち上がった。
2/19/2025, 1:55:10 PM