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▶109.「手紙の行方」
108.「輝き」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
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時は現在、元対フランタ技術局内にて

「ん?なんじゃこれは」

施設内が明るくなり、自由に探索できるようになった。
なので技術保全課の課長ホルツは、盗られたと思われるものが何であったか、その手がかりを探していた。

それが収められていたであろう機械、手を置くと男がベラベラ喋るやつだ、その庫内を覗き込んでいたら、天井部分に何かが貼り付いている。

取ろうと触れたら、すぐに剥がれた。

「おっとと。ありゃ接着部分が黄ばんでカサカサじゃ。これは、古いぞ。よく今まで貼り付いとったな」

それは分厚い封筒だった。

「ふむ、手紙にしては分厚いが。接着剤に反して、紙の劣化は少ない。最近まで締め切られておった証拠じゃな」

「課長!ここの長が書いたと思しき日記が見つかりました!」
「おお、でかした!」

日記と封筒の中身を突き合わせて読んでいく。

「ここのやつらは、随分好き勝手やっておったようじゃの」
「長引いた戦乱に狭い空間。資料の多さから見て仕事も相当量。人間関係は良好だったようですが、負担が大きかったのでしょうね。とはいえ、これはバレたら軍法会議ものです」

「それを日記に堂々と書くとは…。しかし、これはどうするかのう」

収められていたもの。
それは国の機密や資材を流用して作られた個人へのプレゼント。

分厚い封筒の中身は、それの取り扱い説明書が大半であった。
手紙も、プレゼントの内容を考えなければ心温まる内容だ。

「危害を加えるものではなさそうじゃな」
「そのようです」

国にも報告されていない、小さなメカ。
知っている人間でなければたどり着けないはずだ。
「当事者では時代が合わんから、子孫か何かか?」

だが、手紙は持っていかなかった。おそらく気づかなかったのだろう。
「全てを知っていて来たわけではないのか…」

「何だかややこしいことになってきましたね」
「そうじゃなぁ。厄介な置き土産じゃ」

仕方あるまい。
そう部下にも自分にも言い聞かせて、
手紙と日記を持ち施設の警護をしている第二隊5班の班長ライラの元へ向かった。

「お前さんはどう思う?と言っても、対応は変わらんか」

「そうですね。経緯が何であれ、今注目されている人物が何を考えているか分からない以上、対応は変わりません」

「そうじゃろな。手間を取らせたの」

わしは持っていた手紙を懐にしまった。

2/19/2025, 9:50:05 AM