-鐘の音色-
はるか青空に、花の香りの立ちこめる
たくさんのひとの祝福もきこえる
私の瞳は先を歩くあなたの笑顔に引き寄せられ
返す瞳が物語るのは未来への約束
そんな夢を見て薄闇に目覚めると
スマホが薄く光っていた
「考えていたこともあったけど、もう応えられない。ごめん」
わからないふりをしていた
窓を開けると通り雨にそぼる草の香り
遠くにバイクのテールランプ
まだ昇らない陽を捉えようと東を覗き見る
まだ見ぬ新しい1日がやってくる確信
「立ち止まってくれて、まっすぐ見つめてくれたから。ありがと」
自転車がカラカラと小気味よい音を立てて通り過ぎてゆく
雨は上がったらしい
夢の余韻をたどりながら、窓に背を向ける
部屋を照らすほのかな光の中、スマホは何も言わない
お湯を沸かそう
スマホのアラームが鳴るまで、あと少し
8/5/2023, 6:38:11 PM