M.E.

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わたしは以前、“陰”という字にマイナスなイメージを持っていた。

明るく社交的な人を陽キャ(陽気なキャラクター)というのに対し、言動や雰囲気が陰気で暗い人を陰キャ(陰気なキャラクター)と言い表すことが日常的にあった。

そして、陽キャがよくて、陰キャはよくないという漠然としたイメージがそれぞれの人に植え付けられていた。

これまで、わたしは、直接誰かから言われたわけでもないが、陰キャだと自負していた。

そして、なるべく陰キャから陽キャに近づけるように、自分がほんとうはそれほど興味のなかったことを始めるなど、無理に背伸びしようとしていた。





しかし、ある日ふと、“陰”という字は本当にマイナスなイメージしかないのか、疑問に思った。

ある夏の猛暑日、外に出たとたんに汗がブワッと出た。太陽の下にでると、肌が焼けつきそうになるくらいの日差しを全身で受けた。

このような猛暑日は、なるべく外に出たくない。

多くの人にこの考えが頭をよぎるが、学校や仕事のために外に出ざるを得ない人がほとんどである。

この人たちが、灼熱の太陽の下を歩く際に、唯一ホッとできるときがある。それは、日陰で一息ついたときである。

日陰で一息つけることで、また日向を歩こうという気持ちになれるのではないかと思う。


 


このように、冷静になって考えると、“陰”という字自体に、マイナスなイメージはないと思った。

この社会では、勝手に人を陰キャや陽キャと分類して、両者の間に何層にもなる壁をつくっている。

この壁は、重なれば重なるほど心に距離ができる。また、同じ層にいる人同士でも、近くにいることに気づけず、心に距離ができる。そうすると、形式的な話はできるが、心まで通わせて話をすることはできない。

陰気キャ、陽キャの概念を放棄して、だれもが同じ層にいることをイメージすると、1人ひとりの個性が輝いてみえる気がする。





自分にレッテルを貼るのではなく、無理に陽キャになろうとするのでもなく、今の自分に自信をもって、自分を飾らなくても一緒にいてくれる人たちを大切にすることが重要だと気づいた。







______________________________________日陰_____。


1/29/2025, 2:22:55 PM