教室、窓際の後ろから2番目の特等席。壁の約半分を覆う窓には青が見え、陽の光に透けた白いカーテンがちらつく。
と、ボーッと窓の外を見ている僕に眼鏡を光らせた先生は、教壇近くから席の合間を縫ってつかつかと歩み寄ってくる。
その足音に一瞬にして現実に戻された。
「時に優越感とは劣等感に変わることがあります」
先生の言葉だ。
先生の『なに外見てんじゃボケェ』の鬼婆のような顔が語る。
僕は立たせていた教科書を握りしめた。
完全に気づかれている。
この裏に僕の早弁が隠されていることに。
先生。
早弁して気づかない先生に優越感を感じてて、ごめんなさい。
僕は唇を噛み締めた。
7/13/2023, 11:31:53 AM