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『秘密の箱』の情景3篇

その1:

「あら? あんなところにお菓子の缶……あ、タケルくんの、かな?」
「そう。これは『秘密の箱』だからママも見ちゃダメ、ですって」
「あら。フフフッ」
「まぁでも見るんだけどね」
「あら? 見ちゃうんだ?」
「いちばん最初が……カマキリの卵」
「あああー」


その2:

「先輩、このお宅って……」
「なにも言うな。プロの引っ越し屋なら黙って運べ」
「でもこんな……全部の箱に『秘密』ってわざわざ書いてあるってのは、いったいどういう、」
「割れ物かどうかだけは客にしっかり確認しろ。本社が査定のために手配した仕込みの客かもしれない」
「えっ。そんなのあるんスか?」
「そうだったらいいなっていう、俺のただの願望だ」


その3:

「先輩、好きです! 私の『秘密の箱』、受け取ってくださいっ」
「俺も実は、お前のことが……これ、開けていい?」
「ダメです!」
「あーそっか、ごめんごめん。持ち帰って家で、」
「絶対に開けちゃダメです、秘密なので!」
「……えーと?」
「大好きな先輩だから渡すんです、私の秘密」
「でも、開けちゃダメなんだよね?」
「大事な秘密ですから!」
「……ええっと、とりあえず……軽いけど、カバンには入らないな」
「あっ、この面を上にして水平キープです。それと火気厳禁」
「なにを試されてるの、俺?」

10/24/2025, 3:57:30 PM