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「子供の頃は」



人の手が、とても暖かくて、それが何故か嬉しかった。

私の兄上。身代わりにしてきたやな人じゃない、兄上。
優しかった。目つきが悪くて、口も悪くて、みんなから怖がられてたけれど、とても優しくて強くて、かっこよかった。
私のヒーローになってくれると、約束もしてくれた。

親よりも、側近よりも、誰よりも信頼できた。

私とは全く違う正反対の、私の優しい、おにいちゃん。

見た目も全く違う、私は母様に似ていて、兄上は父様。
私の髪の毛はふんわりとしたパーマがかった髪の毛だけれど、兄上はストレートで髪の毛が多いからちょっとボサボサしてた。

お兄ちゃん。私の兄上。私のヒーロー。

もう会える日は、ないけれど。
どうかお幸せになって。私なんか忘れて。
こんな弟のことなんて忘れてね。幸せにね。

⬛︎⬛︎⬛︎、一度だけ呼んだ。兄上は、少し照れくさそうにして、私の頭を撫でてくれた。
幸せでした。






「…兄、上。」


それがこの国の王の遺言であった。
王には兄がいた。名は、王しか知らない

6/23/2024, 12:22:45 PM