るに

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街へ着いたのは
何時間ほど前のことだろう。
ここどこ?今何時?
自動馬車の
AIの馬に尋ねる。
ここは中部地方の
山脈の傍です。
丁寧に地図まで表示してくれる。
何処を目指しているのかも
なんで移動しようと思ったのかも
もう忘れてしまった。
移動中はずっと眠っているから
毎日昼夜逆転どころではない
過剰な睡眠をとっている。
起きる度に
ここはどこか、今は何時かと
尋ねる私に
馬は文句ひとつ言わずに
質問したことだけ答えてくれる。
距離を詰めすぎない、
賢いAIは好きだ。
嫌いなAIはというと
馴れ馴れしく人の隣にすっと立ち、
あたかもずっと親友だったかのように
こっちのことを分かったように話す。
そんなAI。
道をガタンガタンと進んでいく。
馬はのそのそと歩いている。
途中水辺で止まり、
馬は自分が欲しい分だけ
勝手に水を補給する。
私もたまたま起きている時は
馬車から降りて水を汲む。
馬の燃料は水で
たった100mLで1日移動できる。
体内に貯水もできるので
1、2週間に1回で構わない。
それなのにこうして
水辺があると寄ってくれるのは、
多分私のためだろう。
私を生かすため。
"Good Midnight!"
友達とか家族とか
そういう関係では決して無いけれど、
言葉なんか無くても共にいる。
そんな
一定の距離にある
馬と私。

1/28/2026, 4:03:58 PM