ぷつん、と音もなく舞い落ちる花びらを今年は何度見ただろう。満開に花ひらいて、多くの人に見られる場所に生えているものとは異なり、僕の前に佇む小さな木は、きっと通りすがりに一目。その一瞬、注目を浴びただけであっという間に忘れ去られてしまうだろう。
新学期。
新しい学年、学校、仕事場。
つんざくような冬の寒さとは一変、後味残る冷えとともにふわふわとした暖かさが身体を覆う。
挿し木されて数年のこれは、僕が生きている間にどれほど大きくなるんだろう。悩み、誰かとの幸せを見つけて、一人でもいい、ずっとじゃなくていい、笑えるその時が来るだろうか。それを僕の横でずっと見守ってくれるのだろうか。
ヘルメットを被ったまだ不恰好な制服をした中学生が、自転車で横を走り去った。
風が立つ。
目の前のひとひら
ぷつん
4/13/2025, 11:34:15 AM