田中ボルケーノ

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友人の誕生日が迫り、僕らは会議を開く

普通じゃつまんねえだろ、ということになりドッキリサプライズの方向へ舵を切ることにした

こうなると、みんなノリノリで次から次へアイディアが出される

最終的に、
学部の教授からクラス内のイジメを友人が主導していたとの罪で友人へ退学の勧告がなされ友人が最終弁明を行ったタイミングで

裸にマント、頭にパンティを被った私が
正義の味方パンティマンJrとして勢いよく登場し
バースデーコールに移る、という壮大な企画に決定する

教授に協力を仰ぐと最高の笑顔で引き受けてくれた

大学の会議室はあいにく満室で
わざわざ駅前の貸し会議室を借りて友人をそこに呼び出した

パンティとマントを買い揃えいよいよ本番、である


パンティマンJrの状態でドアの前でスタンバってると聞こえてきたのは教授の迫真の演技

教授が友人に迫る、お前がやったんだろ、言いたいことがあるなら言ってみろ!と

泣きそうになりながら友人が弁明を始める

合図のLINEが届いた、いよいよ出番だ


ふぅ、と息を吐き出し、持っている最大限、全力のテンションでドアを開ける、いくぞオラァ!


話は聞いた!!!
弱い者イジメはおよしなさい!!!

パンティマンJrの登場である

一瞬の響めきのあと部屋は静寂に包まれた


勢いよく開けたその会議室には、見知らぬスーツ姿の男女
プロジェクターにグラフが並び、机の上には資料やら
私の方を向いてみんな口が開いていた


間違えたのである、部屋を


察した私は、

では、さらばだ

と言い残し静かにドアを閉めた


隣の部屋で待機する仲間たちに
部屋を間違えた、とも言い出せず

色々考えた結果、着替えてそのまま家に帰ることにした

正義のヒーローだって間違うことあるやろ、と呟きながら


        『静寂に包まれた部屋』

9/29/2024, 1:28:27 PM