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擬人化注意

視線の先にはいつも、あなたがいました。
あなたをめで追い出してから、もう何年になるでしょう。
初めてあなたと出会ったのは、忘れもしない7年前の夏でした。
あるお店にふらりと立ち寄った私は、そこであなたの姿を見かけました。最初はただ、他の型と並んでいただけなのに、あなたはただそこにいただけなのに、私はあなたの佇まいに目が吸い寄せられました。そしていつの間にかあなたを手を取り、熱い眼差しを注いだのです。
それが、あなたとの最初の出会いでした。

あなたと出会ってから、私の人生はガラリと変わりました。かつて付き合っていた、私のかつての相棒では満たされないものを、あなたは私に与えてくれました。

あなたを守るために、私は防護をするという名であなたの真の姿を表に出すようなことをしません。あなたというとても繊細な存在を守るためなら、私はいくらでもあなたに貢ぎました。そう、いくらでも。
あなたの為なら、誰がなんと言おうと私は食費を削ってでもあなたとともにいることを選びます。

そして、私はあなたの姿を日々追いかけるようになりました。
あなたが、私の目の見えるところにいないと不安でどうしようもなくなってしまい、いつもあなたを探しています。

そうして、私はあなたをずっと捕まえて話さないのです。
でも、自分は平気で長電話をします。
あなたには傍を離れることを許さないにも関わらず、自分は平気であなたから離れ、ある日はあなたを鎖で繋いだまま眠ります。

そして、あなたの声で目を覚まし、1日が始まるのです。
私はあなたの表面を愛撫して、アラームを止めるとベッドからモゾモゾとあなた―充電の終わったスマホ―を取り出すのでした。

お題 視線の先には

7/20/2023, 10:08:50 AM