ある日、棺の中で目を覚ました。
幸いなことにまだ埋められていなかったので、棺は簡単に開いた。長く眠っていたせいか腰が痛い。
痛む腰や背中をおさえ、立ち上がった。
空は月が輝き、一面に海が広がっている。見渡す限り他の島はない。
海辺には、つたない文字でSOSと書かれてあった。
誰かいないかと私は探すことにした。
少し歩くと、案外近いところに小屋があった。なぜだか私はとてもわくわくしていた。
何か面白いものがあるのではないかと思って。
そっと扉を開けると、錆び付いた金属の音がした。なかには腐食した女性がベッドに横たわっていた。顔も分からなかったけど、私は女性に釘付けだった。
ベッドの横のテーブルに、茶封筒がおいてあった。
おかしい。私の名前だ。私は封筒を開け、中身を見た。なかには手紙が入っていた。
どうか今は安らかに眠って。
たった一文だけだった。
この人を私が寝ていた棺にいれることにした。
女性を入れ、小屋で工具を見つけたのでもうひとつ棺をつくることにした。
-ある日、まん丸な形の綺麗な惑星が見つかったとニュースで報道された。
惑星は小さいが、水も空気もある。とっても狭い島が唯一の陸地らしい。
その後のキャスターの言葉は、耳を疑うものだった。
島には小屋がひとつと棺と思われるものが二つあり、片方は開いていると。
その中には女性の腐敗した遺体が二つあると。
3/7/2023, 11:18:45 AM