私の双子の姉は、私とそっくりだ。大きい瞳に長いまつ毛、茶色の髪は伸ばして三つ編み。体型も同じ。唯一異なるのは利き手くらいだった。私は右利き、姉は左利き。
そんな姉は、もう既にこの世にはいない。1人での散歩中、飲酒運転のトラックに轢かれて、あっけなく死んでしまった。葬式には私のことを知らない姉の知り合いが数人いて、私を見て驚いていたのを、他人事のように覚えている。
それももう2ヶ月は前の話で、しかし私は未だに、実感が湧かないでいる。
私は、私の双子の姉とそっくりだ。唯一異なるのは利き手だけで、体型も、伸ばして三つ編みにした茶色の髪も、長いまつ毛に大きい瞳も、そっくりだ。
だから、利き手さえ反転させてしまえば、私は姉になる。例えば、洗面台に、風呂場に、ドレッサーに。私が覗き込んだその板の中には、姉がいる。
毎日、顔を合わせ、笑いあい、互いの話をした、姉がいる。
毎日、目の前で顔を洗い、歯を磨き、メイクをしている姉を、私は真正面から見ている。私の動きに合わせて、右へ左へ、手を動かしている。そんな姉を、私は黙って見ている。姉は喋らず、私を黙って見ている。
「……お姉ちゃん」
毎日顔を合わせているのに、いなくなったなんて思えない。ただそれだけの話だった。
鏡の中の私を、久しく見ていない。ただそれだけの話だった。
11/3/2024, 5:23:47 PM