『1件のLINE』2023.07.11
『久しぶりに食事にでも行かない?』
先輩であり、仲間であり、親友であり、兄貴分的存在の彼からメッセージが届いた。
彼から連絡が来るのは本当に久しぶりである。生存確認はブログやらメディアをチェックしているので、彼が元気にしているのは知っている。しかし、こうしてのメッセージアプリでのやり取りは久しぶりで、食事なんてもっと久しぶりだ。
詳しく話を聞いていくと、早めの夏休みがあり、そこのどこかで食事に行かないか、ということらしい。
慌ててスケジュールを確認すると、本当にたまたま彼の夏休みと自分の休みが被っている日があることに気付いた。
その事を伝えると、彼はどうせなら旅行に行こうと話を持ちかけてきた。
熱海や湯河原、箱根。河口湖あたりでキャンプも楽しいだろう。
『坊ちゃんに任せるよ』
からかう時のおきまりの呼称に、彼がメッセージの向こうで笑っているのが見える。
いつだって、彼はこちらを尊重してくれる。こちらがこうしたいと言えば、いいよと肯定してくれる。
丸投げしているわけではない。自分の意思がないわけではなくて、彼は年上としてこちらを甘やかしているのだ。
だからそれに、つい甘えてしまう。
彼からのありきたりなメッセージ一つで、そんな気持ちになってしまうのが、たまらなく心地が良いのだ。
7/11/2023, 11:42:47 AM