叶わぬ夢
女子高生の夢。それは彼氏が欲しいということ。
「ねぇ、彼氏欲しいー!」
「香奈は高望みしなきゃできるでしょ。」
高望み。その言葉は、私が今好きな人と結ばれるのは難しいということを暗に示していた。恨めしさを込めて睨みつけるも、楓は気にしていないようにトイレの鏡で前髪を直していた。
「じゃあ楓は愛しの山本くんとどうなのよ?前委員会終わりに話してたじゃん」
「ちょ、こんなとこで辞めてよ。誰か今トイレ来たら聞かれるじゃん。てか本当やめてよ?あの下駄箱で待ってた時もずっとニヤニヤしちゃってさー、バレたらどうしてくれんの。」
「あはは、ごめんって!」
さっきの楓の言葉に思わず腹がたったが、意外とそれは的を得ている。なぜなら、私は、割とモテるから。こんなことを言っちゃなんだが、昔から顔だけは褒められることが多かったし、自分がかわいいと自覚してからそれをより追求するために色々努力をしている。もちろん女優やアイドルのような突出したかわいさではないことは分かっているが、クラスや学校の中ではまあまあかわいいのではないかと密かに思っている。対して、私の好きな人は、本物のイケメンだ。本当に芸能人レベル。最近人気のアイドルに似てる。幼少期の頃から一緒なのに、未だにこんなかっこいい人間はいるのかと度々驚かされる。彼に似たアイドルを好きになってしまうぐらい彼に恋焦がれているのだが、いまいち進展はない。仲の良い女友達兼幼馴染どまり。はー、辛。まあ幸いなことに彼は他に彼女を作るような気配も無いのでそこは安心だが。長期戦だなー。てか、もうかれこれ5歳?とかから好きだから…12年の片思い?長い長い。どんなスポーツでもこんな長期戦無いでしょ。だるっ。もうこんな希望のない人にうつつを抜かさず、私を好きだと言ってくれる人に素直になれたらどれほど良いことか。そんなのとっくにわかってるのに。でも無理。もう、貴重なキラキラJKライフを彼氏なしで棒に振るんだから責任取って結婚してくれよー。無駄な通知ばかり来る携帯画面を見てはぁーと長いため息を吐いた。
3/17/2025, 1:02:24 PM