夏服の袖口から伸びる腕が好きだ。
ぴっちりしたシャツより少しゆとりのあるのがいい。
シャツと腕の隙間に漂う涼やかな感じとか、薄い綿や麻の生地の、さらっとしてそうな質感が妙に好きだ。
照りつける太陽などものともせず、涼しい顔をして街を歩く若者たちの足取りを見ると、怖いもの知らずの強さを感じる。
なんてことを考えてしまうのは、私がきっと歳をとったからなのだろう。暑さにはもう屈服するしかなく、軽やかな半袖シャツなどを着て夏を謳歌するなど出来なくなってしまった。
通り過ぎた季節というのは、いつでも眩しく見えるものなのだ。
END
「半袖」
5/28/2024, 3:31:01 PM