遺影

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「夕焼け小焼け」が聴こえる。もう帰る時間だ。
外で聞いたのは久しぶりだった。いつも学校終わりにはどこにもよらず、友達とも遊ばず。家にすぐ帰っていたので、たいていは家の中で聴いていた。
しかも家は学校の目の前だったので、大音量なのだ。
こんなふうに遠くから聴こえてくると、力強さは薄れ、ノスタルジックで、もの寂しい気持ちになる。特に、こんな状況だと。
先程までぴくぴくと痙攣していた同級生がいつの間にかぴくりとも動かなくなっていた。
周りに人気はない。どれくらい眺めていたのだろうか。
「いつもみたいに家にすぐ帰ればよかった…」
自分の声が冷たく響いた。

10/1/2023, 12:05:31 PM