Open App

あの日、君と手を取り合って帰った帰り道。
今思い返すと懐かしさが込み上げてくる。
二人で笑い合いながら、きっとこの幸せはいつまでも続くと思っていた。でもそれは一瞬の夢だった。
もう君はここにはいない。今ここにいるのは過去を捨てられないまま大人になった僕だけだ。
あの日手を取り合えても、君が苦しんでいた時に僕は君の手を取って逃げ出すことはできなかった。
言い訳をして見捨てた。君はこんな僕を許さないだろう。何があっても一緒に助け合おうといったのに。
「ごめん、ごめんなさい。」
後悔の言葉を呟く。君はいないというのに。
今、僕の世界に手を取り合って一緒に生きようと言ってくれる人はいない。当たり前だ、だってこれは罰なんだから。そうやって、今日も僕はたった一人で生きていく。過去の夢に縋りつきながら。


『手を取り合って』

7/15/2023, 9:36:56 AM