#25歳

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【お題/鐘の音】♯3

「ごぉぉぉん」

十五夜の鐘の音。

重苦しい音が、周波が、
皮膚という盾を容易に貫通し 体の内部を響かせる。

それは手や足でもなく、肝臓でもなく、
一直線に心臓へと 響く。

辿り着いたそれは 心臓を鷲掴み、
重く、けれど優しく、細かく 揺さぶる。

全ての うずめく黒いものが 振り落とされる感覚。

その瞬間、世の中の争いごとや負の情景が
目の前に ぶわっと広がった。

そして、それらは まばらに広がり、消えていく。

音は、

いつか地球全体を震わせるのだ、まだまだ、
届かせる、響き続ける

そう言うかのように、
力強さを残しながら、遥か遠く闇夜へと
響き渡っていった。

静寂が、訪れる。

8/5/2024, 2:02:04 PM