【お題/鐘の音】♯3
「ごぉぉぉん」
十五夜の鐘の音。
重苦しい音が、周波が、
皮膚という盾を容易に貫通し 体の内部を響かせる。
それは手や足でもなく、肝臓でもなく、
一直線に心臓へと 響く。
辿り着いたそれは 心臓を鷲掴み、
重く、けれど優しく、細かく 揺さぶる。
全ての うずめく黒いものが 振り落とされる感覚。
その瞬間、世の中の争いごとや負の情景が
目の前に ぶわっと広がった。
そして、それらは まばらに広がり、消えていく。
音は、
いつか地球全体を震わせるのだ、まだまだ、
届かせる、響き続ける
そう言うかのように、
力強さを残しながら、遥か遠く闇夜へと
響き渡っていった。
静寂が、訪れる。
8/5/2024, 2:02:04 PM