百合注意 死ネタ
風が冷たかった。上から見下ろすとビルや家の窓から染み出す光、蛍光色の看板、手を繋いで歩く人々。その全てが鮮明に見えた。
「おまたせ」
そう言いながら、君は私へ向かって歩く。
寒そうに頬を少し赤らめながら。
「ううん、全然待ってなんかないよ」
君は私の隣に来て一緒に街を見下ろす。
君のその綺麗で大きい瞳、シュッとまとまっている横顔、
嗚呼、好きだなぁ。と改めて気持ちを再確認した。
「私達もあんな普通な暮らしができたのかな」
君が呟いた一言に私は何も返すことが出来なかった。
「そろそろいこっか」
「もう終わりかぁ。」
「…あのさ、私、君のことが好き」
自分でもびっくりするぐらい唐突に、そう口に出していた
「なんで今言うのさ…っでも、私も君が好きだよ」
気づくと君も私も涙を流して、今更気持ちを理解した。
寒さかわからないけれど、君は顔をさっきよりも赤らめて。きっと私もそんな顔だろうな
どちらからともなく手を繋いで、
「好きだよ」
そう言って君とビルから飛び降りた。
『ニュースの時間です。本日未明、手を繋いで心中したと思われる女子高生の死体が発見されました。事件性はないとして調査を進めています__』
2人の闇を抱えた女の子が心中する話。
"君と手を繋いで"
12/10/2024, 9:33:58 AM