紅月 琥珀

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 朝起きてスケジュール帳と過去1ヶ月分の日記を読み返す。
 それが朝のルーティンだった。
 支度をして朝食を食べて、記されたスケジュール通りに1日を過ごす。
 今日は彼とのデートの日。昨日用意しておいた可愛い洋服に着替えて、用意しておいたメイク道具でメイクしてヘアアレンジする。

 昨日用意した通りに全てを終わらせて彼との待ち合わせ場所へと向かい、合流してからは彼のエスコートで映画を観たり、お洒落なカフェで一息つきながら映画の感想を話した。
 それからショッピングに行き、夕方まで時間を潰し予約してたレストランでディナーをする。
 美味しい料理に舌鼓をうち、彼に送ってもらって家へと帰ってきた。

 それからお風呂に入り、明日の準備と新しいスケジュールの書き込みをしてから、今日1日の日記を時間が許す限り詳しく⋯⋯でも、なるべく全て書き切れるように気を付けながら書き記していく。
 今日という素敵だった1日を忘れない様に、忘れてしまっても思い出せる様に⋯⋯全部全部日記におさめていく。
 そうして設定していたアラームがなり、急いで読み返してからベッドへと横になる。

 後少しで日付が変わる⋯⋯変わってしまうから。
 少しの期待と大きな失望を胸に、私はカウントダウンを始める。

 5、4、3、2、1――――――0の言葉を紡ぐ前に、“私の記憶(それ)”はひらりと消えていた。

3/4/2025, 12:02:04 AM