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春爛漫…青春している人達はそう感じられるのだろうか?


先輩がいない部活にも慣れた気がする。目に映る景色は未だにモノクロであるのだけれど。入学してからの桜は本当に綺麗だった。先輩が学級写真を撮る時、私はたまたまそれを理科室から覗いていたんだ。

「笑って笑って〜。はい、チーズ。」

あの時の誰かの声。先輩がじゃれる姿。春爛漫に咲く桜。舞い散る桜。全てが心地よく感じられた。今でもそれは…忘れられないんだ。ずっと忘れない。そんな思い出も今は昔。モノクロに映る桜に私はなんと言えば…どんな言葉を紡げばいいのだろうか?先輩が居なくなってから胸の辺りが寒くて仕方がないんだ。


ら…らん…まん。あった!春爛漫。花が咲き乱れるとかそんな意味なのか…。あぁ!新入生を迎える会の準備…しなきゃ!



「え、俺がこのボケ言わなきゃいけない感じ?」

「だって今のままじゃ嫌なんでしょ?」

「それは…。」

「ってかさ、クラスガチャ…本当にハズレだった。」

そうなんだと笑う幼馴染くん。久しぶりにそんな暖かい笑顔、見たな。

「君のこと、久しぶりに見た気がする。君に会えて良かった。」

しまった。つい素直になりすぎて言い過ぎた。少し照れていると君はへぇ〜そうなんだと嫌味ったらしく言うんだ。素直に喜べよ…こっちが恥ずかしいんだが。

咲き始めたばかりの桜が強風に煽られて少しだけ舞い散った。君が笑った途端に花が満開に咲き誇ったと私は錯覚してしまうほど…君は私の心を暖めてくれたんだよ。

4/10/2023, 11:40:54 AM