エチ²O₂π

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右手にラケットを握りしめてその表裏を丁重に変えながら喜色満面にピンポン玉を弾く様子は、歩哨に退屈した戦闘狂が敵を捉えた時のようだった。闖入する隙も無いほど間歇的に球を射出するマシンと輸贏している彼の者の馬手でキャビテーションが起こっていた。須臾そうしていると突然マシンが変態した!マシンの上部が開閉され、中から現れたるはパイルバンカーを構えた學天則だった。彼の者は茫茫然と立ち尽くしていた。學天則は呟いた。
「人間はあまりにも自然から離れすぎた。EXCESは天則に学べ。」
火薬の弾く音が聞こえ、ふと気付けばパイルバンカーが腹部を優しく穿っていた。鮮血が低きに流れ、グチュ、グチョグチュチュと内蔵が垂れていく。學天則は気付く。
「ハハハハ。成程、これが意識的経験か。なんとも奇妙だ、そして滑稽だ。笑いは世界の終わりに必要ない。不安を掻き立てるだけだ。」
學天則が超音波を出しソノルミネッセンスを発生させた。
光が忙しく散らばる。それなのに大きな影は消えない。
その影は學天則に迫る。一歩、一歩、また一歩。
「何故だ。なにゆえ浮かべられる。全く恐ろしい。お前達は、幾度歴史を変えても、本質は学べないのだな。」
眩い中、一体何を見たのだろうか。

「笑顔」

2/8/2023, 2:23:53 PM