穏やかに晴れた日だった。
桜は満開で、あなたから珍しく「お花見に行こう」とデートのお誘いがあったっけ。
あたりは桜の匂いでいっぱいで、同じようなカップルや老夫婦、家族連れでごった返していた。
周りの人にあわせるように、あなたは私の手を繋いでくれた。
夜なのに暑苦しい日だった。
年に一度の夏祭りで、カップルの定番行事でもあるので、私からデートに誘った。
浴衣姿の私をおだててくれて、満更じゃない私は浮かれて屋台巡りをした。
物凄い人並みで、あなたははぐれないようにと手を繋いでくれた。
だんだんと寒さが強くなってきた日だった。
木の葉が色づき、生まれて初めて「紅葉狩り」というデートをしてみた。
出店もないし人混みも少なく、老人やペット連れが多い大人な空間。
カップルも多くないので、あなたは少し恥ずかしながら手を繋いでくれた。
クリスマスに初詣、冬のイベントが盛りだくさんの時期。
ほぼ毎日あなたとすごして、たくさんお話して、たくさん手を繋いでくれた。
ずっと隣でいたかったので、私とあなたが結婚して、ノドカが生まれた。
ずっと隣でずっと一緒、幸せな家庭、絵に描いたような眩しい家族。
台風が近づいてきた秋口。あたりには木の葉が散らばっていた。
雨は音を立てて降り、風は耳鳴りのように吹き荒ぶ。
あなたの手を繋ぐ。しかし、握り返してはくれなかった。
--ずっと隣で、ずっと一緒でいたかったのに……
【ずっと隣で】
※【太陽のような】の続き
3/13/2023, 10:22:29 AM