maria

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「たとえ間違いだったとしても」



陽向(ひなた)くん、
30歳の誕生日おめでとう

独り暮らしで自由なあなたには
今更必要なものなどないだろうと思って
お母さんからは手紙と「これ」を贈ることにしました

あなたが3歳の時に
離婚を選んだお母さんは
おじいちゃん、おばあちゃんにも頼れず
陽向くんと二人きり
楽しいときも 辛いときも
うれしいときも悲しいときも 
いっしょだった

あなたが幼い頃は
お母さんはあなたを保育園に預けて
朝早くから夜遅くまで仕事していたから
先生との連絡帳がズッシリと
こんなに何冊にもなりました

この中にはおかあさんの弱音が
たくさん書かれています

「仕事が忙しくて、会話ができていません」
「どうしたらいいかわかりません」
「他のお母さん方はどうされていますか?」


陽向くんが20歳の頃にはきっと
ピンと来なかったでしょうが
30歳になった今なら わかるだろうと
「これ」を選びました

今のあなたくらいの歳に
お母さんが何を考え 何に悩み
どうやってあなたを育て
あなたから育てられたか


お母さんは失敗だらけ
間違いだらけの人生を歩んできたけれど

あなたのお父さんと別れた選択が
たとえ間違いだったとしても

あなたの今の存在が
お母さんのすべてを肯定してくれています

だから 安心して失敗してもいい
あなたの選択が間違っていたと
あとから気づいても それでいい
そのままでいい

お母さんが失敗を繰り返して
いまのあなたを得られたように
こんなにも誇らしいあなたを
得られたように
あなたもきっと何かを得られるから

あなたが描いた沢山の絵
いもほり えんそく しおひがり
うんどうかいでもらったメダル

これも一緒に入れておくね
あなたはこれを描いたとき
メダルをもらったとき
自分がどんなに世界から愛されているか
知ったはずだから 

いまだって愛されているんだから


    お誕生日

       ほんとうにおめでとう


4/23/2023, 2:17:36 AM