Frieden

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「命が燃え尽きるまで」

ボクは宇宙を守るという使命を果たすために生まれた、いや、作られた。父……血の繋がりなんてないが、ボクを作った人の想いは今も生き続けている。ボクはそれを託されて今日も働くんだ。

父はたくさんの宇宙を、たくさんのひとたちを、守りたかった。父には守りたいものがたくさんあった。
最後の最後まで、守ろうとした。

でも、守れなかった。

だって父は、生き物だったから。
生き物はいつか、その命が尽きるから。
仕方のないことだ。

彼が守りたかったものたち。救いたかったものたち。
数多の美しい宇宙。実験と労働で苦しんだ宇宙管理士。
そして、ボクと一緒に生まれた機械。

それらを、彼らを苦しめないために、ボクは何でもした。
できることは全て、思いつくことは全て実行したよ。

その結果、時間はかかったけれど、お父さんの守りたかったものは全部、ちゃんと救えた。
これからもきっと。

そういえば、ボクにも守りたいものができたんだ。
お父さんも守りたいと思っていたはずのボクのきょうだいと、それからあるひとりのニンゲン。

こっそり彼らの様子を覗いたら、ふたりとも安心した様子で抱きしめあっていたよ。
……どれだけ愛おしいんだろうと、そう思った。

この命が燃え尽きるまで、ボクはずっと動き続ける。

ボクの命は命とも呼べない、模造品かもしれない。
でも、ボクはきっと愛を知っている。

愛する誰かのためなら、たとえ白眼視されようとも、居場所がなくなろうとも関係ない。

愛で燃え尽きるまで、愛がなくなるまで、ボクはこれからもずっと生き続けるよ。
大好きなものを守るために。

「前回までのあらすじ」────────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

……ついに裁判の時を迎え、ボク達はなんとか勝利を収めた!

それから。
ボク達はニンゲンくんに、そばにいていいって言って貰えたよ!
まあ一方的にお願いしただけとはいえ!!!
とても嬉しいことだね!!!

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9/15/2024, 1:05:27 PM