題 鋭い眼差し
何か視線を感じるっ!!
ビクッ
私はおそるおそる教室の後ろを振り返る。
斜め後ろの席に座っている田代くんと目が合う。
よく目が合うんだよなぁ。
なんだろ。
私が怪訝な顔をしてみると、田代くんが鋭い眼差しで私をギロッと睨む。
私は電光石火の速さで顔を戻す。
・・・なんなんだろう。
結構頻繁に視線を感じる。
しかも睨まれてる。
やだなぁ、何か文句でもあるのかな。
憂鬱な気持ちになる。
次の休み時間、友達のたかちゃんに田代くんのことを話してみた。
「そうだね、何だろうね?前から目が合うんでしょ?黒板が見えないとか?」
「あ、それはあるかも。私背が高いし。くじで席決まったから、どうにもならないんだけど・・・」
「それで、うらみつらみがたまっちゃってるのかもよ〜?!」
冗談っぽくからかってくるたかちゃんに、もーってふざけて返したものの、私の心の中には不安が渦巻いていた。
どうしよう、出来るだけ小さくなろうか?
次の授業の時間は出来るだけ首をすぼめて授業を受けていたけど、やっぱり視線を感じる・・・。
振り返ると眼光鋭い田代くんの視線が・・・。
もうどうしたらいいの〜!?
私がパニックになっていると、次の昼休みの時間、田代くんに呼び出された。
一緒に人気のない廊下に誘導される。
ここで罵倒されるのかな?!と身構えていると・・・。
「好きです、付き合ってください」
つて言われた。
「は?」
私は呆気にとられてそんな返答しかできなかった。
だって、だって、よりにもよって、そんな言葉が降り掛かってくるとは思わなかったから。
「えっと、好きなんだけど・・・」
は?なんて失礼なこと言っちゃったって気づいて、慌てて言葉を付け足す。
「あ、ごめんね、違うの、私田代くんににらまれてたから、何かしちゃったのかなって思ってたから、まさか告白されると思ってなくて・・・」
誤解を解こうと全て正直に白状してしまう。
「あっ、僕、最近コンタクトに変えたんだけど、度数が合わなくて作り直してもらってるところで・・・。今あまり周りが見えないから、ちょっと目つきわるかったかも・・・」
「あ、そーだったんだね、ごめん、睨まれてると思っちゃった・・・」
私がそう言うと、田代くんは頭をかきながら言う。
「まぁ、僕が誤解させるような行動取ったのが悪いから・・・それで、返事はどうかな・・・?」
そう言われて、初めて、告白されたことによる、心臓の鼓動の早まりを感じた。
ど、どーしよ。私、田代くんには睨まれてるって思ってたからそんな気持ち全然ないし・・・。
でも改めて田代くんの顔をみると、端正な顔立ちをしてる・・・気がする。
でも・・・でも、やっぱり睨まれてた印象がまだ強いよっ。
「ごめん、嬉しいんだけど、そういう風に見たことなくて・・・友達からでいいかな?」
私がそう言うと、田代くんは頷いた。
「もちろん、そう言ってもらえてうれしい」
あ・・・
私は思わず田代くんの顔に見入ってしまった。
柔らかく笑う田代くんの純粋な笑顔はとても素敵だって思ったんだ。
10/15/2024, 11:45:48 AM