灯台下暗し / 心の灯火
小さくあたたかい火が、灯ってしまった。
無愛想で、無感情で、いつもつまらなそうにしていて、
それが酷く美しくて愛おしかった、あの子の心に。
返せ、返せよ、美しかったあの子を返せ。
消してやればいいんだ!
あの子の家族、友達、宝物、全部、全部全部!
全て消したはずだった。
けどどうしたってあの子の灯火は消えなかった。
「ねえ、その火、誰のせいなの」
そう問うと、あの子はにこりと笑って(似合わないね)、
私の胸を、人差し指で突いた。
9/2/2024, 11:01:33 AM