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幸せとは

「幸せって、なんだと思う?」
「なんだ、藪から棒に」

 いきなりこんな事を言ってみる午後四時。暇そうにしている様子が、妙に幸せそうに見えた故の問だった。

「なんかね。私は最近、幸せになったばかりだよ」
「いいことでもあったか?」
「君に会えて、救われたから」
「……そうか?」

 君は首をひねる。はたから見ても随分救われたと思っているが、君にとっては些細なことだったようだ。これだけ救われて些事ならば、では幸せとは。

「……別に。不幸じゃないなら幸せだろ」

 なるほど、そうなのか。

「まあ、人によるだろうけどな。それに満足できなきゃ、いつまでも幸せなんてこねえよ」

 そうか、君はそんなふうに思っていたのか。なんだか、ますます君という生物を理解できなくなってきたような気がする。だって、君はまだ私と同じくらいの歳しか生きていないはずだろう?それなのに、随分と基準が低い。通りで何してても幸せそうなわけだ。そんなのまるで、

「ねぇ、君は実は仙人だったり?」
「しねぇ。なんでそうなるんだ」

 さすがになかった。でも、わかってきた。

「やっぱり、君といられて幸せだ」

1/4/2025, 11:35:44 AM