曖昧よもぎ

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朝と昼の境目みたいな時間だった。こういうときに腹が減ると中々苦しかった。
今日はメロンパンを半分だけ口に放り込んで急いで家を出てきた。母親は洗濯物を干していた。父親はコーヒーの熱を冷ましていた。多分、駅前のパン屋のだった。許可も得ず食ったから、もしやしたら誰かの分だったかも知れない。その罪悪感もつゆ知らず、腹が鳴った。

文化祭の苺ソーダが妙に美味かった思い出。綺麗な色だったかと言われれば、やる気のない学生の、チープな品だった。野外にいくつかテラス席が用意されていて、向かい合って座った。カップルで並ぶとなぜか『特別です』と言われアベックストローを雑に差し込まれるそうだが、我々もまた同じ目にあった。甘美な秋だった。そうだ。美味しくはなかった。喉を突く炭酸がやけに痛かった。

手紙を出したかった。ずっと、宛のない手紙を書き続けた。いつか出会う人に渡す為の、ラブレターだった。想いは風だった。優しく撫でて、干渉しなかった。

もうすぐ白鷺の季節だ。貴方の嫌いな季節が来る。世界に求めているのは、美しさでなくて、ただ、我々を赦してくださいと、地を舐めた。顔をあげたとき、私はまだゲヘナを見下げる側にいた。


『風に乗って』

4/30/2026, 9:26:51 AM