あなたとはもっと対等な関係でありたかった。
施し施されるなんて恩の投げつけ合いは一ミリも望んでいなかった。喜ばせたいという真心で行われるやりとりが幸せだと思っていた。
私は疲れてしまった。自分にできることが少なくなって、代わりにあなたはできることが増えた。返せもしない善意を受け取り続けるには私はあまりにもひ弱で、もういっぱいいっぱいだった。
美しいはずのものが醜くみえてしかたない。
まるで雨のよう、いや嵐のような存在なの。
大地を潤す雨も、色んなものを運ぶ風も、度が過ぎれば害となる。大地を削り、全てを押し流し吹き飛ばしまっさらにしてしまう。
あなたは嵐のような人。
私の心を優しさで潤し、様々な出会いや発見を運んできた。何もかもが新鮮で楽しいかった。心の底から温かさが溢れてきて、あなたさえいれば何でもできると思えるくらい強くなれた。
でも少しずつ歩調がズレていって、あなたの後ろ姿ばかりみるようになった。それが寂しくて悲しくて堪らなくなった。あんなにも満たされていた心がバケツをひっくり返したように空っぽになったとき、散らばった中身がとても汚く感じたの。
未だにあなたの後を追いかけてしまうのは、以前と変わらず私に手を差し伸べてくれるから。
優しさを与え、言葉や行動を尽くして幸せを説くから。
私は嵐が来ようとも、笑っていようと決めた。
私があなたに返せるものは、もうそれしか残っていない。
いつか心が跡形もなく消え去ったときが私たちの別れとなる。
別に永遠の別れではないのだから、
嵐はいつか必ず再来するものだから、
楽しみでもあり辛くもあるの。
【題:嵐が来ようとも】
7/29/2023, 2:41:12 PM