「本当の優しさって言葉があるなら嘘の優しさもあるのかな?」
「お前なぁ·····」
「嘘の優しさってなんだと思う?」
「ん? んー·····相手じゃなくて自分の評価を上げる為に、本当はやりたくないのに親切にしてる、とか?」
「それが嘘かどうかは誰が決めるの?」
「本人と周りじゃね?」
「それでも相手が助かったり嬉しかったりしたら、周りや本人がどう思おうとそれは本当に優しかったことになるんじゃない?」
「んー·····」
「最初は嘘でも、それが積み重なれば本当になるんじゃないかなぁ」
「一理あるかもな」
「誰からも優しいって言われてる人も、子供の頃とかは親に褒められたくて親切にしてた、って人もいると思うんだよね」
「なるほど」
「だから嘘でも本当でも、優しさって大事なものなんだよ」
「·····お前、いっつも色々考えてるな」
「ん? うん。でも私のこれは嘘かも」
――本当は考えてるフリしてるだけで、本当に考えなきゃいけない事から逃げてるだけなのかも。
だって、こうしていれば貴方が感心してくれるし、色々構ってくれるから。
「何か言った?」
「·····ううん、なんでも」
END
「優しさ」
1/27/2024, 12:02:41 PM