「イルミネーション」
イルミネーション、と僕は心の中でつぶやいた。
いるみねぇしょん。やはり不思議な音だと思う。
僕は、イルミネーションとやらを知らなくて。
色々なひとに聞いて回った。
「イルミネーションってのはね、きらきらしてるの!」
目をきらきらさせて、少女が教えてくれた。
「イルミネーション…寒いから見ないんだよね」
おつかいの帰りの、少年が教えてくれた。
「イルミネーションの季節か…時は早いものだ」
腰の曲がったおじいさんが、しみじみと教えてくれた。
「イルミネーション見るヒマあるなら手伝っておくれ!」
せかせかと歩くおばさんが教えてくれた。
イルミネーション、というのが、
きらきらして、寒くて、
時間が経つのが早くて、でもヒマだから見る
というのを知って。
僕の鼻に、白い結晶がくっつく。
冷たい。
見上げると、きらきらと白いものが降っていた。
ひらひらと舞う「それ」は、初めて見るもので。
なるほど、時間を忘れそうなほどに魅入って。
これじゃ、ヒマじゃないと見られないだろうな。
イルミネーション、とつぶやく。
出てきた声は、「にゃー。」だった。
子猫の頃の僕は、これが雪だとは知らなかった。
昨日の「愛を注いで」書き直し
僕は、いつもこの時間に起きる。
起きていちばん最初にするのは背伸び。
窓のカーテンから漏れる光に僕は目を細める。
僕はひとり暮らしだ。
だから朝食は自分で作る。
一日の希望を大さじ一杯。
揺れる不安を苦戦しながらお箸でひとつまみ。
(苦戦すると味が良くなるとレシピに書いてあった)
なんでもない勇気を角砂糖ひとつ分。
昨日の後悔と疲れを少々。
そして、秘密の隠し味。
最後に、透明な愛を注げばジュースの完成。
(愛の色はひとそれぞれらしい、見たことはない)
味はひとによって変わるらしい。
僕はひとり暮らしだからまだ分からないけど。
12/14/2023, 11:52:38 AM