🍳たまごかけ🍂

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雨上がり

ぽつぽつ雨の縁側はなんだか甘酸っぱいな。
居間で茶をすするおばさんにも伝わってるかな。
チクタク進む時間は、どこかゆっくりでこの時間を長くしてくれているみたいだ。

夏休みの後半の後半、もう終わる直前。
優しさの女神である幼なじみは、課題の終わっていない哀れな迷える子羊たちを救済する勉強会を開いていた。
今日はその勉強会の三日目、課題は中盤に入ったと思うくらいには進んでいた。

「ここは、、、、えっと、、どうやるんだっけ?」
向ける視線はもちろん幼なじみであった。
少し呆れた顔もしてるけど、なんだかんだで教えてくれる彼女にはほんとに助かっている。
やっとの思いで進んできたその課題の半分以上は、彼女の教えがあってこそだ。
「わかった?」
うん!まったくわかんない!

ゴーン、、、、
昼のチャイムが鳴る居間には、息を吐くのと
「やっと、、休憩だぁぁ!」
と子羊のみんなは思っていた。
各自取り出す弁当は、タッパーもあればキャラクターの入った可愛い弁当、はたまたコンビニの弁当、なんならおにぎりだけの人も居る。
まぁ俺だがなw。

弁当を食べる子羊の横で、そうめんを食べる女神様は、おにぎりだけの俺を見て、
「それで足りるの?」
と言ってきた。こっちのセリフである。
なんだかんだで会話の途切れない昼休憩はすぐにおわってしまう。
「一時になったからそろそろ始めるよ!」
女神のセリフも今は、悪魔である。

頑張って進めた課題は徐々に減っている。
それと一緒に、集中力も減っていく。
ぼーっとしながら見る女神様は、本物のようだ。
笑顔も優しさがにじみでていて、声も優しさで包むようで、やっていることだって救済だ。
本物の女神様なんだな。
ペチッ!
下敷きで叩く姿も女神のようだな。

なんだかんだで進んできた勉強会もお開きの時間。
雨が降り出しそうな雲は、勉強会を少し早めに終わらせてくれた。
今にも降り出しそうな、雨を気にしながらおじさんおばさんに挨拶をする。
玄関についた子羊は、降り出した雨に困っていた。
傘を持っている偉い羊はそのまま帰り、俺とあと一匹の羊は、ちょっと待つ。

横の羊は、傘を借りて帰路に着く。
家が近くて親同士も仲の良い俺は、少し待って雨が弱くなった時に走って帰ることになった。
靴を履きながら待てるように縁側に座る。
小雨はまだ来ない、来るのは鼓動だけ。
まだ降れ。まだ降れ。止まないでくれ。
縁側は、少し甘酸っぱい。

6/2/2025, 11:31:36 AM