「あ、」
空を切った。
そこには何もなかった。何もなくなった。
あった筈の何か、それは一体何だった?
いまさら知覚をした。指先が震えて声も出ない。
未だあるのは残響と気配、それすら幻覚だった。
ぬるい風が頬を撫でた。次に雫が頬を撫でた。
鼻の奥が痛くなった。肺が広がらなくなった。
足元が濡れる音がした。子どもたちがじゃれ合う音がした。
それらすべては思い出のように。
膝をついて、手をついて、頭をつけて、私は泣きじゃくった。
ない。
それは喪失を超える孤独だった。
4/2/2026, 2:53:23 PM