なんの冗談だと、そう思った。
嫌がらせか、もしくはウケ狙いなのかとも。でなければ、これまでの恨み辛みを束ねた当てつけの可能性も。とにかく、正気とは思えなかった。真摯で誠実な対応だとも。
けれど、『おめでとうございます』と、何処か悲しげな笑みでブーケを手渡してくるその表情は、これまでずっと隣にあった可愛い後輩のそれで。
受け取ったその作り物の花束をジッと見つめる。バラにパンジーにアネモネ── 種類も形もバラバラで一貫性はありもしないけれど、色味も相まって何故だか不可思議なバランスのとれた、作り手のセンスと込められた想いが伝わってくる作品でもあった。
さくら色のラッピングの施された繊細ながらも華やかなデザイン。少なくとも、嫌いではないと思ったし趣味にも合っていた。
───私の気持ちです。
そう伝えてくれたあの子の気持ちを当時は理解できなかった。結局、返事もまた。
それでも、ようやく受け止められた、枯れることのない想いはここにあるから。今度は自分の番だと、そう思った。
テーマ; 【永遠の花束】
2/4/2025, 1:21:10 PM