足り過ぎた贅肉

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ようやく安心出来そうな小さな砂浜を見つけた。
海からの波は穏やかで、風が押し上げた砂浜は大きく盛り上がり穴を掘るにはうってつけだ。
夜になるのを待って陸に上がり透明な涙を流しながら穴を掘る。
もうすぐ掘り終えようかというタイミングで陸から1人の青年が歩いてきた。
「おお、ウミガメよそんなに涙を流してどうしたんだ」
そう声をかけられるがこっちは今それどころじゃない。
「誰かにいじめられたか、それとも海へ戻れなくなったか」
勝手に好きに喋っているが気にしてはならない。もう時間がない。
「どれ、今助けてやるからな」
そう言って甲羅を掴まれた。もう我慢ならずその青年に声をあげる
「産卵の邪魔せんどいて!!涙は生理現象じゃ、目の乾燥を防ぐ用じゃ!!もうほっといてんか」
思わず関西チックな喋り方になってしまったがその青年は驚き手を離して去っていった。
せっかく掘った穴が崩れたが急いで掘り直そう。
(透明な涙)

浦島太郎のオマージュ、ウミガメの産卵の邪魔したらあかんよ太郎。

1/16/2025, 12:18:09 PM