晴れ渡った、麗らかな日。
貴男とわたしは、結婚届けに署名し、結婚した。
わたしが貴男と結婚した理由は、家筋が良かったから。
そして、わたしの家の遠縁にあたる氏族だったから。
両家の家格の釣り合いのとれた、普通の結婚。
『女の幸せは、結婚すること。』
祖母や母から何度も聞かされてきた、
この言葉は、わたしの人生においては正しい。
正しく、その通りだった。
わたしは、貴男と結婚して『想う』という満ち足りる心を知った。
わたしは、貴男と結婚して『安心』という余裕ができた。
わたしは、貴男と結婚して『楽』という穏和な日々を得た。
しかし、全ての人々が求めるものでは無いとも感じた。
幸せとは、自分が求める時を過ごすこと。
その時とは、人の数だけ多様に存在するように思う。
だから、わたしはこの言葉を娘たちに掛けない。
幸せとは人の数だけ多様であり、自分で決めるものだと知って欲しいから。
8/1/2024, 4:00:11 PM