てふてふ蝶々

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親の決めた人と結婚するのが私の役目。
女として産まれたのだから、夫に尽くし、子を産んで…
って育てられた無知だった頃が遠い昔のように感じる。
昭和の時代でも普通に恋愛婚が多かったらしいのに、なーんで親の言う事がフツウのイッパンジョウシキなんて思ってたのか不思議。
若かりし頃、親の決めた相手じゃないと結婚出来ないと、本気で思ってた自分をぶん殴りたい。
結婚するまでの腰掛けでついた受付嬢の仕事。
出会いました。一目惚れです。恋を初めて知りました。
名前も知らない会社の飛び込み営業の人。
貴方が何を話したか覚えていたかったなぁ。
私の頭の中は花が咲き乱れ、小鳥が囀り。
話していた内容を覚えていません。凄く残念。
何を話したかわからないけれども、貴方が私に背を向けて、帰って行く姿はしっかりと覚えております。
しばらくして、結婚相手が決まった私はつつがなく結婚しました。
結婚相手は親の同業他社の一番株だそうでした。
仕事に意欲的で、好青年。
いかにも私の親の好みそうな相手でした。
勤めを果たすべく、私は夫に尽くし子を産むべきでしたが、一度恋を知ってしまった私は結婚相手を受け入れられません。
しかしながら、諸葛、政略結婚。
子が出来るまでは…。と言い訳を作り今も受付に座っています。
若い子がどんどん入社してきて、今の部署は総務となってしまいましたが、貴方が来社するこの時期は、指導と称して受付におります。
貴方のお勤めになる会社と我が社はしっかりと協力関係にあると書類から知りました。
貴方の尽力が、御社を支える一つの要因だと思うと
胸が熱くなります。
一昨年前の貴方は少し肥えて丸くなりましたね。
去年は、髪の色に白が混じっていましたね。
今年はどんな貴方にお会いできますでしょうか。
私も歳をとりました。
イッパンテキにはおばちゃんです。
恋焦がれる気持ちは色褪せないまま、体は生娘のまま。
今年も貴方がいらっしゃると、頭の中は花咲き乱れ、小鳥が囀るのでしょうね。
心より貴方のご来社、お待ちしております。

7/7/2023, 10:17:06 PM