【月に願いを】#4
満月かしら。
ふと見上げると、そこには大きなおせんべいみたいなまんまるお月様がありました。
懐かしいな…
私は昔、あそこに住んでいたことがあります。
そこはとても美しい宮殿があって、みんな歌ったり踊ったり、それはもう楽しい日々を過ごしていました。
あの日々を懐かしみながら、今日もまた日課である日記をつけます。
この日記は、私がこちらで暮らし始めた日から書き始めました。
ここにきてすぐの時は色々な苦労がありました。
みんなができることができないのは悪いことだ。
みんなと同じが1番いい。
初めはそう言われていました。
しかし、少し時が経つと…
個性を大切にしろ。
自分らしくいるべきだ。
そんなことを言われ始めたのです。
私はどうして良いかわかりませんでした。
みんなと同じを強要されていたのに、突然に自分らしさを強要され始めるのです。
自分らしさとはなんでしょう?
個性とはなんでしょう?
もうわからなくなってきてしまいました。
こんなこともわからない私は、きっとお月様から来たのです。
きっとこの星の人間ではないのです。
月で毎日楽しく過ごしすぎたバチが当たったのだわ。
だからね、お月様。
どうか、私を元いた場所に返してはくれませんか?
5/26/2023, 3:23:34 PM