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彼からのLINEを見て私は喉を引きつらせる。彼に連絡先を教えた覚えがないからだ。その事実は失神しそうになるほど衝撃的であった。恐怖に圧倒され動けずいた。そこから何時間経っただろうか。チャイムがなんとはなしになった。叫びそうになる。だが今は夜中、叫んだら近所迷惑になってしまう。とても不安だ。だがこのままで放置するのも気が引ける。意を決してそこから立ち上がりインターホンの前に向かった。たった数歩のことだが一歩一歩を踏みしめるように歩いた。そしてインターホンを覗く。奴がいた。奴がいたのだ。家の住所など知るはずなどないのに。ありえない。奴は何時から私をつけていたのか。そんな私の心境など興味もないという様に奴は何度もチャイムを押してきた。だがずっとドアに張り付いているとやはり不審がられるようで隣の人が出てきた。彼も通報されるのは嫌だったようで、すぐにドアの前から離れ走っていった。私は緊張の糸がぷつっと切れ倒れてしまった。

9/16/2024, 5:39:59 AM