冬風

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題 私だけ

悲しいな…あの頃から変われてないのは私だけだなんて

執務室で何人かと仕事をしている中ふと、自分の上司である黒髪の少女が言った。何故急にそのような考えに至ったのか甚だ疑問に思うのだが、流石に空気を悪くさせられたらこっちが居た堪れなくなるので取り敢えず否定をしておく。

…私は貴女と出会う前のことを知らないのであまり言えることはないのです…が、私が知る限り、貴女も変われたと思いますよ

書類にサインをしながら淡々と言う。

…うん、そうだね。君たちと出会ってから…いや、この国に来てから何もかもが違った。そして思ったんだ、あの子がいない人生なんて生きている意味がないって

そう言うが、この人の第一印象は明るい人だった。その分裏が読めなくて、恐ろしくもあった。
けれどある日を境に、本心を少しずつ見せてくれるようになって…

ほら、やっぱり変わっているじゃないですか

今回は自信満々に言える。自分だけ納得してうんうんとしていると、少女はこっちを見てこう言った

君たちと話していると時々、遠い日を思い出すよ

7/18/2024, 12:31:03 PM