病室。時計の秒針の音だけが響く静かな場所。
ろくに遊べもしないこの場所で、患者はベッドに横たわる。起きている間は本当に退屈だが、寝てしまえば問題ない。何せこの病院の別名は神様病院。この病院のベッドで寝ると、神様とその使いの天使が夢に出てきて、一緒に遊んだり、悩みを聞いてくれたり、時には命のエネルギーを貰えたりする。なので、この病院では、重篤な症状で救急搬送されてきた人以外の死者は少ない。だから入院患者は毎日安心してこの病院で生活し、安心して眠りにつく。
ただし神様病院には欠点がある。それは、退院していまえば神様の御加護がなくなってしまうこと。この病院では入院中に亡くなる人は少ないが、退院直後に亡くなる人はそれなりにいる。
「〇〇さん、あと1週間程で退院できますよ」
医師から告げられるそれは、通常の病院であれば患者は喜ぶ。だが神様病院でのそれは、余命宣告のようなものである。
隣の病室にいる1週間後に退院する人の余命は
あと何日だろうか。
8/2/2024, 9:32:42 PM