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冬のはじまり

季節の変わり目は鼻で感じることが多い。
春は土の、夏は青草の、秋は落ち葉の匂い。冬は匂いというよりは鼻奥の閉まるような感覚で冬の訪れに気づく。
冬が始まると一番楽しみだったのは霜柱だ。あのキラキラした氷の細かい柱が朝日に光りとても綺麗。そっと霜柱を手で持ち日に透かしてみるといつかテレビで観たローマの宮殿みたいだ。
鑑賞したあとはいよいよお楽しみの時間。霜柱を踏みしめるのだ。
やったことがある人はわかると思うが、あの霜柱を踏んだ時のサクサクとした靴底に伝わる感覚がたまらない。脇道のまだ踏まれていない霜柱を踏みながら歩くのは、冷え込みはじめた通学路のお楽しみだった。
今は舗装がしっかりされてる道になったので見る機会は減ってしまったが、玄関を開けて鼻にツンとした空気を感じると、あの頃のワクワクした気持ちが蘇る。
さあ今日も一日が始まる。

11/29/2022, 10:58:09 AM