蝉助

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確信があった。
幼馴染の結華は、近いうちにあたしの手の届かない遠いところに行ってしまうって。
彼女は大衆が見放さないような才能を持っていたから。
美しい目、人を惹きつける言葉選びと、繊細な動きを見せる手先と頭の中。
そのような状況を未来は明るいと呼ぶけれど、まさにその通りで、彼女の足元は既にスポットライトで照らされるように光源を保っていた。
もう少しで、きっと偉い人に探し出されて、その手を取って行ってしまう。
それをあたしは止めることはできない。
だって馬鹿だもん。
「あーあ、あたしも頭が良かったらな!」

4/9/2024, 9:37:29 AM