はるさめ

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君と過ごす初めての秋。

落ち葉がいい感じだからお散歩デートしよ!なんて無邪気な君からの誘いで外に出た。
もう秋も終わりだからか、陽が出ていても外は寒くて、時折吹く風が僕の憂鬱な心をさらに冷たくしていく。

秋が終わって、冬が過ぎて、春になれば僕と君は離れ離れになってしまう。
遠距離恋愛なんて初めてだから、上手くいかなかったらどうしようと不安になってしまう。
自分の気持ちや君の気持ちを疑っているわけじゃなくて、むしろ好きすぎるから、離れた場所で1人で過ごせる自信が無いんだ。
…嫌だな。心が、寒いよ。

「見てこれ!」

急に視界に入ってきた黄色と君の声に、ハッとして顔を上げる。そこにはイチョウの葉っぱを手にもって楽しそうに笑う君の姿があった。

「すっごい綺麗だねぇ!だから私秋が大好きなの!」

そう言って落ち葉の中を楽しそうに進む君の姿は、僕のちっぽけな不安なんて吹き飛ばしてしまうほど眩しかった。

「私もちょっぴり不安だけど、きっと大丈夫だよ。枯葉の花言葉はロマンチックなんだって。こんなに素敵な花言葉を持ってる落ち葉の中にいる私達は、そう簡単に離れたりしないよ。」








…数年前の出来事をゆっくりと思い出して、僕は閉じていた目を開けた。僕は今日、あの日と同じこの場所で君にプロポーズをする。

色付いて風に舞う枯葉たち、どうか思いっきり祝福して。

ロマンチック、なんでしょう?

2/19/2023, 12:47:49 PM