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私は本が好きだ
そう思っていた

書店を、用もなく散策したくなる日がある
本に埋もれたくなるのだ
大型の書店ほどいい
文庫本コーナー、新刊コーナー、雑誌コーナー、専門書コーナー…
あてもなく歩いて、店内を一周する間に
すこしずつ脳みそを入れ替える

一周したら、一冊ずつ観察して歩く
装丁に惹かれるもの、
題名に興味がわくもの、
著者に見覚えのあるもの、
昔読んだもの
時々手に取ったりしながら、納得してまた歩く

本が特集されている雑誌はとくに興味深いので、
見つけるとほぼ全ページ確認する
「おすすめの本」「人生を変えた本」など
いろいろな分野で名前のある方々の記事を読む
そして、ううむと悩む
知らない題名が多々あるし、
むしろほとんどを知らないし、
肝心の私はといえば、
「好きな本」がまったく思い当たらない
「好きな本」を上げられないでいること自体が、
とうとうなにかに失格なのだという気さえしてくる

私は本が好きだ
けれど私の「本好き」は、
おそらく、何か、どこか違うところにある
どういう種類のものなのか
本好きを名乗っていいのか
それを知りたくて、自分
飽きもせず、今日も書店をぶらつきに行く

6/16/2024, 7:57:22 AM