タッタッタッ
空虚な空間に、僕の足音だけが広がる。
ガラッ
[1-6]と書かれた扉を開けると、案の定誰もいない。先刻まで人気があったのだが。みんな来るのは遅いのに帰るのは早い。ふと窓の向こうに目をやると、グラウンドで部活をしている人や、向かいの校舎で課外を受けている3年生、下校している人もポツポツと見られる。耳を澄ますと、発声練習をしている放送部と演劇部、風に煽られ音を奏でる木々の声が聞こえる。
僕はこの、なんともいえない、強いて言えば「青春」と言うべき雰囲気が好きである。
ギイッ カタッ
椅子に座ってノートを出す。
シャッシャッ
シャーペンを紙の上で踊らせ、文字を落としていく。
「模試…お疲れ…様…でした」
今時、労いの言葉なんてメールで送れば良いのだ。それはわかっているのだが
「ゆっくり…休んでくだ…さい」
どうしても置き手紙がしたくなってしまった。
「…よし。靴箱に入れて帰るか。」
【僕の放課後】#3
10/12/2023, 4:09:25 PM