夜と朝の隙間で目が覚め、隣の柔らかい白い肌を確認する。規則正しい寝息が聞こえる彼女の頬に唇を寄せれば小さく身じろぎをする。そんなことさえ愛おしくて、口の端が緩む「全部おれのせいにしてええよ」数時間前の彼女との会話を反芻しながら呟く。泣いた跡の残る目尻に指を添わせば長いまつ毛が指をくすぐる「…孝二、?」「起こしてもうた、ごめん」薄く開いた瞳はまだ焦点が定まらないようで虚ろだ「も、朝…?」「いや、もう少し寝とき?」「孝二はなんで、起きてるの」「なんでやろうなぁ」いつもの癖で笑おうとした口角はうまく上がってくれなくて、代わりに視界が歪む「泣いてるの?」「あかんな、おセンチや」今度はうまく笑えたけれど、一緒に同じくらいの涙が溢れる「やっぱり私が行けばよかった」「その話はなし。おれが悲しいんは、明日から君に会えへんこと」遠征選抜結果に彼女の名前が並んだ時から、こうすることを決めていた「私だって…」その先は言葉にならなくて、胸の中で肩を震わせる彼女の体を包み込む「絶対、帰ってきてね」「当たり前やん」不確定な未来でも、今だけは。
もしも未来をみれるなら
4/20/2024, 9:43:59 AM